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2011年9月28日水曜日

『「史上最悪」の福島』

海外の番組です。
和訳つきでYouTube動画にアップされていました。
http://www.youtube.com/watch?v=C4VqpVIs49g

東京で、ボランティアの人々が「答」を求め、あちらこちらで土を掘り返しています。
ホウシャノウがどれほどまで、首都圏にたどりついているのかを調べるためです。

ジャーナリストの木下黄太氏は、この市民活動の中心人物です。
この土壌調査結果はプロの研究所で分析され、その結果、首都圏一帯に危険なホットスポットがあることがわかりました。

木下黄太氏:
  「首都圏には、放射性物質が大量にあるエリアがたくさん
  あります。そのレベルはチェルノブイリの住民が避難しなければ
  いけなかった区域並みです。」

およそ1300万人が住む首都東京では、避難の必要性について誰も考えてきませんでしたが、「いくつかの地域は避難すべき事態になってきている」という専門家もでてきています。

いいぬまやよいさんは、自分の子どもに被ばく症状がでていると感じています。
そういう親は何百人もいると見られています。
10歳のはなちゃんは、手足の関節にひどい痛みを感じています。目の下のクマもなくなりません。日中に何時間も寝なければならないほどの疲労感にも襲われています。
この症状は全て、原子力安全の専門家がいうところの被ばく症状です。

やよいさん:
  「ひとつの症状だけならまだしも、全ての症状が一度に
  始まりました。
  夏休みに東京を離れたら、すぐに良くなりました。」

政府の研究チームは、ホウシャノウの危険についての宣伝に消極的です。
国民のパニックをもっとも恐れているのだといいます。

菊地透氏(放射線専門家):
  「今まで存在していた放射性物質と、311以降にある放射性物質
  とでは、人体にどれぐらい影響を及ぼすかという点でいいますと、
  ほぼ変わりません。
  怖いのは、心配することや、ストレスを受けることでの心理的な
  問題です。」

世界中の専門家が、全く違うさまざまな意見を出しています。一年間で人が安全に許容できる放射線量についてもです。
日本政府は、一年に20シーベルトまで大丈夫だと言っていますが、新しい研究では、ほんの少しの放射性物質でも体内に入れば、病気、ガンを引き起こすことが発見されています。

野呂美加さんは、過去20年をチェルノブイリ周辺のコミュニティで過ごしました。
病気になったりガンになった子どもたちの支援をしてきました。
こうした子どもたちのほとんどが当時、政府や専門家たちが「放射線は危険な量ではない」とした地域に住んでいました。

野呂美加さん:
  「許せないですね。
  政府の無知さを許せません。
  私たちは子どもたちが苦しむのを見てきました。
  日本で同じことをまた繰り返すわけにはいきません。」

議論の必要もないのが「幼い子どもたちはもっとも放射線の影響を受けやすい」ということです。
何百人もの妊婦が東京をすでに離れたそうです。
いいぬまやよいさんは、現在、経済的な理由で避難することができません。
そのため、娘さんは屋外には出ず、食べ物は原発の影響がないと思われる地域からのものを買っています。
子どもに可能な限りの、普通で健康な人生を送れるようにしたいと願いながら…



「海外の番組はしょせん海外の番組、本当のところをわかっていない」なんて言う人もいるかもしれません。
私が注目したのは、これがアルジャジーラの放送だったということです。
宗教や政治の支配を強く受ける中東アラブで、アルジャジーラは唯一ともいえる公平な、そして放送エリアのすごく広大な放送局です。諸国の政治批判も遠慮なく流すため、しばしば当該国からクレームが入るといいます。
「一つの意見があれば、必ず反対の意見も存在する」
「私たちはその双方を伝えていくのだ」
そういったポリシーを実践し続けてきました。
(ビン・ラディンがアルジャジーラにばかり声明を送りつけ、それを放送することで一躍有名になったという経緯には、こんな背景がありました。)
アルジャジーラの経営者はカタールという国の首長ですが、「金は出すが口は出さない」のだそうです。


蛇足ですが。
アラブ圏では3年ほど前に日本大絶賛シリーズ「ハワーテル5(خواطر 5)」が放送されました。(これはアルジャジーラでなくMBCです。)
 日本のPTAがいかに子どもたちの交通安全に気を配っているか
 フードコートで食べたものをきちんと片付ける日本人
 デパートの店員のあまりにも礼儀正しいお辞儀
 アイスクリームを買うと保冷材をつけてくれるという気づかい
 犬の糞を拾いながら散歩させる光景
 財布を落としてもちゃんと戻ってくるという驚き 等々
当たり前のことをいちいち褒め称えてくれるので、照れくさくも嬉しくなる番組です。
これを観て、日本びいきのアラブ人が急増しました。「あの」日本がという思いで、中東の国々は震災と原発事故を案じてくれているのです。



─当日追記─

この番組『「史上最悪」の福島』で最初にインタビューを受けている木下黄太さんのブログを、じつは私はあんまり好きではありませんでした。(原発推進者がまず結論ありきで原発の必要性を語るように、)この人は「放射能は危険」という結論ありきで放射能を語り過ぎているからです。公平性を欠いているような気がして、今まで距離をおいていました。
でも、ご自分で足を使って、みんなで計測して、という活動はとても意義のあることだと思います。

番組の最後に登場する野呂美加さんという人を、私は知りませんでした。
それでいま調べたところなんですが。
この人を盲信する派と、ののしる派。評価は両極に分かれていることがわかりました。
「放射能にはEM菌(または乳酸菌)が効く」という発想の、教祖のような存在になっているそうなのです。
私自身、時に乳酸菌やEM菌が驚くほど便利であることは身をもって知っていますけれども、「放射能を消す」とまでなってくると、これは確実な研究の数値が見当たりませんので、精神安定剤代わりというか、気休めていどの話と考えています。
野呂美加さんのうさんくささを嫌う人もいるようですが、でも、チェルノブイリの子どもたちと20年もかかわってその目で見守ってきた人ならではの知識というものも、きっとあるだろうなとも思います。

木下黄太さんにしても、野呂美加さんにしても、「科学的でない部分があるから全てを信用できない」と切り捨てるのは、ちょっとどうかと私は思います。むしろ「真実をたくさんからめて話すからこそ、オーバートークの部分までも信じてしまう人たちが出てくる」と言えるのでしょうから。
そういう意味で、彼らの全てを頭っから否定するような人というのも、これまた彼らと同じくらい信用できません。

情報の真偽の判断…、難しいですね。
きちんと裏をとって、一つ一つ確認する作業の必要性をあらためて感じます。

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