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2011年12月8日木曜日

粉ミルクのセシウム

昨日、粉ミルク「明治ステップ 850グラム缶」からセシウムが検出されたというニュースがありました。

 賞味期限2012年10月 4日のもの=21.5ベクレル(1kgあたり)
 賞味期限2012年10月21日のもの=29.0ベクレル(1kgあたり)
 賞味期限2012年10月22日のもの=30.8ベクレル(1kgあたり)
 賞味期限2012年10月24日のもの=22.5ベクレル(1kgあたり)


基準値以下の数値ですが、無償交換に応じるとのことです。
これらは3月14〜20日に製造された粉ミルクで、(原料は原発事故前のものなので)牛乳由来のセシウムではなく、噴霧乾燥加工(埼玉工場)の過程で空気から混入したという話です。

春になったら食品の基準値が厳しくなりますから、そのまえに対処しておこうと考えて自主的に公表したのかなぁと思っていたら、消費者からの指摘で判明したのだそうです。
さっそく粉ミルクの主力メーカー各社が「放射能検査を強化する方針」を明らかにしたといいます。
じゃあ今までまともな検査ではなかったのですかと、泣きたくなります。日本の未来を背負う小さな命の一つ一つを、なんと考えているのでしょう…。


放射線は、赤ちゃんにとってとくに影響が大きいとか、ガンや死亡につながらなくても免疫系統が弱くなるとか、病弱になるとか、男性なら子供を作ったときの障害児率が上がるとか、女性なら流産率が上がるとか、すでにいろいろな話が出ています。
3月の大気が原因ということは、セシウム以外の放射性物質も多かれ少なかれ混入しているだろうと考えられます。

もちろん、そういう問題は千人に一人とか一万人に一人というような小さな影響であったりするのでしょう。この粉ミルクも、そんなに大きなベクレル数ではありませんからね。
チェルノブイリ原発事故による死亡率・発病率は、当事者に5年間ものあいだ放射性物質の情報を与えなかった結果です。信じられないような汚染度の高い食品を、そうと知らずに毎日食べるはめになった人が多かったようです。
日本では(万全でないとはいえ)とりあえず流通制限など公の対応がなされていますし、市民レベルでの検査や情報交換も国や企業をバックアップしている状態ですから、かの国ほど高い発症率にはならないのではと、私は楽観しています。

でも「一万人に一人」だとしても、我が子がその一人になれば当人にとっては100%の発症率です。母親たちが神経質にならざるをえないことを、男性方は嘲笑せずに十分ご理解いただきたいと思います。

社会全体に視点をもどしてみれば、たとえば、日本の2011年の労働人口(総務省発表)は6500万人ですから、もし「一万人に一人が発症」となれば6500人にあたります。
ただでさえ出生率が減っていて老齢社会へまっしぐらという時代に今後さらに千人単位で労働力が減り逆に病人を抱え込むとなれば、日本経済としての大損失ではないでしょうか。
健康被害がどのていど出てくるかは今後を見ていかないとわからないというのが、専門家たちの共通した意見です。食物汚染に無神経でいれば、発症者が千人単位ではなく万単位・十万単位となる可能性もないわけではありません。
(スリーマイル島の原発事故の研究者は「フクシマによって、今からの50年の間に、増え続ける癌によって20万人が死ぬことになるでしょう。」と言いました。もし本当にそうなるなら、死亡せずにすむ発病者はそれ以上の人数でしょう。)
私自身が若くして体を壊し、家族に負担をかけ続けている立場なだけに、そういう視点で日本の未来が心配になってくるのです。

今現在、社会を担っている元気な経営者や官僚・政治家の皆さんには、病弱な若者だらけになる日本などおそらく思い及ばない話でありましょう。
どうか、食品会社の皆さんは「とりあえず今を乗り切ること」だけでなく「次世代の日本経済」を真剣に考えてほしいと思います。




※出典・参照(2012/04/25更新)

・関連ニュース
 [2011/12/06 14:41 日経 明治の粉ミルクからセシウム 規制値は下回る 40万缶無償交換へ]
 [2011/12/06 19:16 朝日 明治の粉ミルクからセシウム 規制値は下回る 無償交換]
 [2011/12/06 21:10 毎日 セシウム:明治の粉ミルクから検出 40万缶無償交換へ]
 [2011/12/07 03:09 読売 明治の粉ミルクから微量セシウム…無償交換へ]
 [2011/12/07 18:22 NHK 粉ミルク 検査強化の動き広がる]
 [2011/12/07 19:06 朝日(時事通信) 粉ミルクの放射能検査を強化=セシウム検出受け—メーカー各社]
 [2011/12/07 22:00 オトナの会社設立 セシウムが検出された明治の粉ミルク、ビジネス面から見た新たな問題とは]
 [2011/12/08 00:24 MSN産経 セシウム検出の粉ミルクは大丈夫? 自然被曝より断然少ない 飲み続けても問題なし]
 [2011/12/08 社説 北海道新聞 粉ミルク セシウム 微量でも心配]

 [2011/12/09 21:41 朝日 11月中旬にセシウム情報把握 粉ミルクから検出の明治]


・ニュースになるまで1ヶ月かかった経緯
 [2011/12/14 JUNSKYblog2011

・福島第一原発事故による仮定死者数
 [2011/04/15 13:47 スリーマイル島事故調査の専門家が語る:フクシマで20万人が死ぬかもしれない 和訳 / 原文]

・当ブログの関連記事
 [2011/03/28 放射能は怖いか怖くないか]
 [2011/04/28 汚染食品と汚染母乳]
 [2011/05/12 お茶から放射性物質]
 [2011/06/04 お茶から放射性物質 2]
 [2011/07/13 セシウム牛肉騒動 食品・その他の原発事故汚染報道 リンク集]
 [2011/07/20 セシウム牛肉騒動 2]
 [2011/08/05 お米と放射性物質]
 [2011/09/18 会心の雪国まいたけ]
 [2011/09/18 メグミルク騒動]
 [2011/12/08 粉ミルクのセシウム]
 [2011/10/27 暫定基準値の見直し開始 内部被曝を減らす方法 リンク集]
 [2012/02/25 食品基準値の見直し...お米と牛肉はそのまま]
 [2012/04/25 食品基準値は厳しすぎるか?]

チェルノブイリ原発事故(1986年)のときも、日本の土壌が汚染され一部の生活協同組合が国産茶葉を出荷停止にしました。
当時、その生協の自主基準値は37ベクレル(1キログラムあたり)でした。
出荷停止した国産茶は高いもので227ベクレル(1キログラムあたり)だったそうです。
そのとき日本の輸入食品規制値は370ベクレル(1キログラムあたり)でした。
(国内生産物には規制がなかったようです。)

ドイツの食品基準値は現在、大人8ベクレル(1キログラムあたり)子供4ベクレル(1キログラムあたり)
チェルノブイリのあるウクライナでは、40ベクレル(1キログラムあたり)
ウクライナ以上に汚染されたベラルーシは、大人100ベクレル(1キログラムあたり)子供37ベクレル(1キログラムあたり)です。

現在、日本の食品基準値(2011年6月現在)は、
放射性セシウム500ベクレル(1キログラムあたり)
ヨウ素131が2000ベクレル(1キログラムあたり)となっています。
当ブログ「お茶から放射性物質 2」より

「高すぎる」と言われ続けてきた食品の暫定基準値が、一年を過ぎてようやく少し引き下げられます。子供たちの身体を心配する母親にしてみれば、これでもまだまだ高い数値なのですが、とりあえずちょっと一安心。
…と思っていたら、お米と牛肉は、まだしばらく500ベクレルなのだそうです。
がっかり。

加工食品もです。(2012年4月現在)
当ブログ「食品基準値の見直し...お米と牛肉はそのまま」より




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