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2012年6月11日月曜日

『原発マネーの幻想』

昨夜おそい時間に、フジテレビ系列で『原発マネーの幻想』という番組をやっていました。

3ヶ月前にも、NHKスペシャルで『調査報告 原発マネー』という番組を放送していたことを思い出します。
NHKや朝日系は、反原発という明確な意志を持った人たちが説得力のある問題提起をしてくれて深く考えさせられるんですけれども、「大人の事情」でそういうことばかりもしていられないらしく、番組や新聞コラムによっては読売新聞の社説(異様なほどの原発推進派)に準じる内容のものも見かけます。

フジ産経系は、読売系や日経新聞ほど顕著ではありませんが、どちらかというと原発擁護寄りですよね。
原発マネーについては、いったいどんな番組づくりになったでしょうか。


中心は、山口県の上関原発での新しい原発建設をめぐるお話でした。
この地域では「原発」ではなく「原電」と呼ぶようです。

原発予定地へと通じる県道沿いには、こんな文字があります。
原電を妨害する人は上関町に来ないで!
町民の大多数は建設を望んでいます。
それでもあなたは妨害するのですか?

上関町まちづくり連絡協議会
この看板が立てられた翌月に、東日本大震災と福島第一原発事故。
新しい原発の建設は停滞におちいりました。
中止でもなく、再開でもなく、宙ぶらりんで待たされている状態です。

町の推進派は、原発交付金が入らず町の予算が立ち行かなくなりそうなことに困惑しています。
すでに総額5,650,000,000円が上関町に交付されていたそうです。すごい額ですね。いったいどこから湧いたお金でしょう。
この大金で、小学校の体育館や全天候型プールのほか、温浴施設「鳩子の湯」が建てられました。「鳩子の湯」の維持費には、今後支払われる交付金があてにされています。

反対派は、もう30年も反対運動を続けて来たそうです。
とくに祝島(原発建設予定地から3.5km)の住民は、9割が反対派。
毎週月曜日のデモ行進が恒例になっていて、30年ですでに1,100回を超えるといいます。
この粘り強さに感銘を受けました。

番組は、推進派の意見と、反対派の意見を、バランス良く見せていきます。
原発問題に関して中立の立場をとっているようにも思えます。
でも結局のところ「貧しい土地で交付金をあてにしてきた人たちが、お金をもらえなくなると生活が成り立たなくなるんだよ。可哀想だよね。」ということを言いたかったみたいです。

原発マネーの問題って、そこでしょうか?
いいえ、なぜ原発に土地を提供するとそんなにお金がもらえるのかというところにこそ、問題があるんじゃないでしょうか?
NHKスペシャルの『調査報告 原発マネー』では、「原発交付金をハコモノにしか使えない決まりにして、その維持費のための交付金をもらいつづけないと住民たちが困るような状況に追い詰めていた」という事実が報道されました。前述の「鳩子の湯」も同じワナに はまっています。そういうたくらみで、わざわざ2011年末という変な時期にオープンさせたのでしょう。

貧しい町の自立を応援したいというのなら、もっと方法があると思うんです。
たとえば「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」という言葉があります。
「魚(交付金)がもらえなくなると可哀想だよね」で済ませてはいけないし、交付金なしで維持できないようなハコモノを作ってはいけないんです。
私たちはもっと知恵を使わなければなりません。



※出典・参考(2012/07/20更新)

・テレビ番組
 [2012/03/08 22:00 NHK

 [2012/06/10 25:55 関西テレビ(FNS)原発マネーの幻想 ~山口・上関町30年目の静寂~]
 (バレー延長のため時間繰り下げ・公式サイトなし・ナレーション杉田かおるさんのブログ告知記事2012年5月27日付は削除されています)

・原発マネーのいろいろ
 [2009/07/02 LiberalUtopia持続可能な世界へ 巨大原子力産業がマスコミをコントロールしている]
 [2009/07/06 LiberalUtopia持続可能な世界へ 隠された被曝労働]
 [2011/03/02 誰も通らない裏道 原発広告とメディアの関係]
 [2011/03/27 InsightNow 東電のカネに汚染した東大に騙されるな!]
 [2011/05/17 東京新聞 東電の広告 宣伝約90億円の波紋]
 [2011/07/03 記事の裏だって伝えたい 原発に反対するわけ。その2「地域を壊す」]
 [2011/09/15 05:48 朝日 東電、原発立地自治体に寄付400億円 予算化20年余]
 [2011/11/06 03:00 朝日 電力2社から計157億円 青森・東通村、使途明かさず]
 [2012/01/19 02:30 毎日 電気料金:広告費除外 政府、原価見直しで検討]
 [2012/02/06 03:00 朝日 原子力委3人に業界から寄付 5年間で1800万円]
 [2012/02/06 18:00 NHK 原発自治体に寄付1600億円超]
 [2012/02/13 14:46 田中龍作ジャーナル 保安院「12人の委員が原発メーカー、電力会社から報酬」の事実...]


・山口県その後
 [2012/06/13 13:27 読売 飯田氏、大阪の特別顧問辞任…山口知事選へ]
 [2012/07/13 10:00
ゲンダイネット 山口知事選 いつのまにか復活 利益誘導&ドーカツ選挙]

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2 件のコメント:

  1. やっちゃんだよ~。2012年6月12日 10:56

    私の花友達のある人なのですが、
    (元看護婦長。 私のうつ病発見してくれた人)
    四国伊方原発5キロ圏出身なんです。
    で、彼女の一番の誇りは亡くなったお父さん。
    死ぬまで反対を貫いて1銭も受け取らなかった、と、、、。

    で、彼女が去年私が何度も南相馬に行くのを
    反対してたの。

    「なんで行くの?  私はあの人たちを
     同情する気になれない。」 って言ってたの。

    「どれだけ巨額のお金、受け取ってるか、
     反対する人間にあの人達どんなことするか
     あなた知らないでしょう。」って、、、。

    だけど私が知り合った南相馬の人誰一人、
    そんなお金もらってなかった。 
    それはごくごく1部地域の人にだけ。

    いずれにしても原発が札束で人の心を
    狂わせてきた、ということは間違いない。

    返信削除
    返信
    1. じつは私にも、原発立地出身の友達がいました。
      縁が途切れてもう十年以上たつんですけど。いまどうしてるのかな…
      まるで、ものすごく重大な告白をするような口調で、実家の近所に原発があることを明かしてくれました。
      原発の周辺では放射能を恐れている人が少なからず居るけれど、それを口にすると村八分になるから地元では何も言えないと、言ってました。
      なぜそれを話す彼女が声をひそめてびくびくしていたのか、当時の私にはまったく理解できませんでした。
      それに、原発の怖さを語ったその口で、関西電力の恩恵を讃え始めるのです。なんだかキツネに化かされているような、二重人格者に出会ったような気分になったことを覚えてます。結論として何を言いたいのかが見えなくて、意見がふらついているのです。いつもの知的で凛とした彼女とは思えない違和感がありました。

      電力会社がカネの力で何をしてきたのか知った今、彼女の中ですごく大きな葛藤があったんだろうなと想像できます。
      あの「キツネに化かされているような、二重人格者に出会ったような」違和感は、「彼女の本音」と「マインドコントロール」の対立の所業だったのでしょう。

      > いずれにしても原発が札束で人の心を
      > 狂わせてきた、ということは間違いない。

      私もそう感じます。

      削除