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2011年11月15日火曜日

NHKと原発 3

先日、そろそろ寝ようと思った矢先にNHKでやっていた番組が、
TVシンポジウム「震災 テレビはどう伝えたか~日韓中テレビ制作者フォーラム~」』でした。
導入部分は退屈な会議といった様相で、「やっぱり見るのやめて寝ようかな」と思ったほどでした。同じシンポジウムを民放のバラエティ作家のノリで演出編集したら、もっと視聴者が引き込まれる番組になったかもしれません。

日本からは、NHKとTBS(毎日系)が参加していました。
TBSのキャスターさんは「現地記者が、大災害を記録して公開することに罪悪感をぬぐいきれない」という重いテーマを出し、それに応えるように中国のテレビ局ディレクターさんたちが、四川大地震の報道を紹介しながら「人名救助を最優先として報道する」という姿勢を話しました。


韓国サイドの発表が興味深かったです。
韓国で放送された福島第一原発特集番組が登場したのですが、グリーンピースが福島近海でワカメやサバなどを検査したら日本政府の暫定基準値の50倍に達するものがあったという話や、浜岡原発を止めたのでトヨタの営業利益が大幅ダウンしたという話、そして最後は「日本の墜落には底が見えない」というキツいナレーションで終わるのです。
なんとなく「日本経済がこの調子でどんどん冷え込んでくれたらラッキー」という韓国側の期待感が見え隠れしているようで苦笑しました。

上映のあとNHKサイドの意見も交え、
「韓国はショッキングな報道を流すし、国民性も情熱的」
「日本はパニックを恐れて報道を抑えぎみ。国民性はデモを見てもわかるように大人しく冷静」
という話になっていって、そこはうなづけるのですが、"浜岡原発を止めたらトヨタが業績不振"というくだりは「え~っ、なにその理屈!?」と思いました。
だって、夏の節電問題に関して、産業界は工場の稼働時間や曜日を調整してしのいだと聞いています。しかも工場は浜岡原発だけで動いているわけではないですし、他府県や海外での生産もあるはず。(タイ工場の大洪水はまた別問題として…)
原発を止めたからというより、震災や原発事故による買い控えや、前年から続いている不況の影響のほうが大きいんじゃないかなぁ。
一昨日、日本のGDPは久々プラスに転じたというニュースがありました。トヨタもしっかり立ち上がって、また日本経済を牽引してくれるだろうと期待しています。

グリーンピースの海産物検査について、当時そのニュースをネットで読んだとき私は「だから何なの?何を言いたいの?」と思ったものです。というのも、国民や各国にとって重要なのは事故原発の真ん前でセシウム値が出るか出ないかではなく、それがいつどこの海域であるかとか、商品として流通するかどうかという部分だからです。
もしも禁漁区となり流通しないのであれば、冷静でいられる話なのですから。
できれば事故原発近くで一回限りの検査をして騒ぐのではなく、継続的に広い海域で調べて、それが流通に乗るかどうか見極めたり生態系全体の影響を見守ったりしていくべきだと思います。
そういった検査は日本政府にきっちりやってもらいたい。文科省の管轄ですよね。…はたして、やってくださっているのでしょうか?
そちらの方が肝だと思います。


最後にちょっとムカッ腹たったのが、NHKサイドの言い訳めいたコメントでした。
「東電も政府も、なかなか本当のことを言わない」とする人がいますが、じつは3月13日のNHKスペシャルで早くも「炉心溶融」を報道していましたよという話です。

でも、そんなこと、どれだけの国民が把握してましたっけ?
事実を隠されてると思っているのは決して一部国民の勘違いではなく、報道各社も4月18日にわざわざ「保安院が核燃料溶融認める」という見出しを使っていますし、5月13日にも「メルトダウン認める」という見出しが乱立しました。6月7日には改めて「メルトスルーの可能性」なんていう見出しが出ています。
なぜ、毎月一回のペースで「やっと認めた」という報道が流れては即日消えるというイベントを繰り返すはめになったのでしょう?
報道したい勢力と、報道したくない勢力の、せめぎあいでしょうか?

テレビって、新型インフルエンザの恐怖とか東海大地震の確率とか生活習慣病のメカニズムなんかは、ていねいな図表つきで説明してタミフルや震災対策やダイエット食品の必要性をあおるくせに(経済界が消費活動をうながす下心でやっているんだろうなということが、愚民の私にも最近だんだん見えてきましたよ)、3月の、もしかしたら日本の半分がゴーストタウンになりかねないという状況下で、その事実がちっとも魂込めた報道になっていませんでしたよね。
なぜ、あのときマスコミは、タミフルや震災対策やダイエット食品と同じレベルの情熱で、こぞって炉心溶融の意味を解説してくれなかったのでしょうか?
なぜ、西日本に避難する人が後ろ指さされかねない立場に置かれていたのでしょうか?

本当のことをストレートに言えばパニックになっていた。
そこはわかるんです。

でも、「私たちはちゃんと報道したでしょ」という言い草で弁明されるのは、なんとも失礼な態度だと思います。
「他にもっと報道の仕方があったのではないか」とか「情報を受ける側も、深刻な状況に正しく対応できる国民でありたい」「そのために日頃の啓蒙や教育がどうあるべきか」とか、そういう方向からみんなで模索していくべきテーマなのではないでしょうか。




※出典・参照(2012/02/26更新)

・番組内容
 [2011/09/28 読売 「震災報道」めぐり議論 日韓中テレビ制作者フォーラム]
 [NHK TVシンポジウム「震災 テレビはどう伝えたか~日韓中テレビ制作者フォーラム~」]
日韓中のテレビ制作者が当事者や隣国の立場から討論した、北海道大学でのフォーラム
【パネリスト】
 鎌田靖(NHK解説委員)
 金平茂紀(TBSキャスター)
 キム・ヒョンソク(韓国・KBSプロデューサー)
 ホァン・デジュン(韓国・PD連合会会長)
 李功峰(中国・四川放送テレビ局ディレクター)
 高松(中国・四川放送テレビ局ディレクター)
【司会】
 音好宏(上智大学教授)

・メルトダウン報道
 [2011/04/18 22:45 時事 核燃料溶融認める=保安院、安全委に報告−原発1〜3号機で・福島第1]
 [2011/05/13 01:32 iza(産経)東電1号機「メルトダウン」認める]
 [2011/05/19
日刊サイゾー 「メルトダウン?英語に訳せばそうなりますか」国民をナメきった東電副社長の…]
 [2011/06/07 20:02 AFP BBNews(読売)「メルトスルー」の可能性、政府がIAEAに報告へ]
 [2011/12/01 07:58 THE WALL STREET JOURNAL 東電、原発事故のデータ解析を発表―チャイナ・シンドロームに近かった]


・ちょっとカッコいいNHK
 [2012/02/16 毎日新聞 特集ワイド:NHK対「原発推進」団体 浮上した「低線量被ばく」問題]


・当ブログの関連記事
 [2011/08/21 NHKと原発]
 [2011/10/08 NHKと原発 2]
 [2011/11/15 NHKと原発 3]


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