原子力規制委員会設置法という名の、この法律は、先週15日に衆議院で、昨日20日に参議院で、可決されてしまったそうです。
●原発推進派の侵食
原子力規制庁が原発推進派の組織と馴れ合ってはいけないことは、だれにでもわかります。
ですから新しい法律には、原子力規制庁のメンバーが、原発を推し進めてきた経済産業省・文部科学省・内閣府に異動することを制限する文章が入ってます。
が、その内容をよく読むと、制限しつつも例外OKということになっているので、けっきょく拘束力ゼロなんですって。
原子力規制委員会設置法 附則
第六条の二
原子力規制庁の職員については、原子力利用における安全の確保のための規制の独立性を確保する観点から、原子力規制庁の幹部職員のみならずそれ以外の職員についても、原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織への配置転換を基本的に認めないこととする。ただしこの法律の施行後5年を経過するまでの間において、当該職員の意欲、適正等を勘案して特にやむを得ない事由があると認められる場合には、この限りではない。
ネットで検索してみると、「第六条の二」は原案では、
原子力規制庁の職員については、原子力利用における安全の確保のための規制の独立性を確保する観点から、その職務の執行の公正さに対する国民の疑惑又は不信を招くような再就職を規制することとするものとすること。
となっていたのに、後半の文章が可決直前に差し込まれた様子です。
●どうみても原発推進

この話は、今朝の東京新聞の一面にも掲載されたそうです。
もともと原発は、核兵器の国内製造を視野に入れ日本に導入されたのだということを、私が知ったのは福島第一原発の連続爆発事故の三ヶ月後でした。あのときショックを受けながら、ブログに書いたものです。
「自国を防衛するための施設で 自国の農業・水産業に大打撃を与えた私たちって、どれほどバカな民族なんですかっ。」 『ひなげし陽気』 2011年6月16日 ─ないしょばなし─ より
法律を作った人たちには、こういう反省の感覚がまったくないのでしょうか?
原子力規制委員会設置法 附則
第五条
原子力利用における安全の確保に係る事務を所掌する行政組織については、この法律の施行後三年以内に、この法律の施行状況、国会に設けられた東京電力福島原子力発電所事故調査委員会が提出する報告書の内容、原子力利用における安全の確保に関する最新の国際的な基準等を踏まえ、放射性物質の防護を含む原子力利用における安全の確保に係る事務が我が国の安全保障に関わるものであることを等を考慮し、より国際的な基準に合致するものとなるよう、内閣府に独立行政委員会を設置することを含め検討が加えられ、その結果に基づき必要な措置が講ぜられるものとする。
そもそも、一文が長すぎ! 国語の作文授業でも指摘されるレベルです。
軍備を意味する「安全保障」を「原発の安全」と誤読させる意図でやってるのかしら。
この霞ヶ関文学を翻訳すると、
「三年以内に」は「三年間は何もしなくてよい」という意味になり、
「検討が加えられ」は「考えたふりだけすれば無視してよい」という意味になるのだそうです。
本当にやる気なら、
「三年以内に」ではなく「すみやかに」、
「検討」ではなく「反映」、
「必要な措置」ではなく「改正」と書きます。
…と、テレビで古賀さん(元経産省官僚)がおっしゃってました。
●なかなか廃炉にできない
寿命40年といわれる原発施設を、3.11以前は定期点検によってもっと長く使っても良いということになっていました。
福島第一原発が大事故になったのも、40年経つか経たないかというときでした。
事故後、原発事故担当相の細野さんは、今後は40年で廃炉という方針を示していましたが、新しい法律でまた寿命60年に延ばされてしまいました。
原子力規制委員会設置法 附則
第四十三条の三の三十一
発電用原子炉設置者がその設置した発電用原子炉を運転することができる期間は、 当該発電用原子炉の設置の工事について最初に第四十三条の三の十一第一項の検査に合格した日から起算して四十年とする。
2 前項の期間は、その満了に際し、環境大臣の認可を受けて、一回限り延長することができる。
3 前項の規定により延長する期間は、二十年を超えない期間であつて政令で定める期間を超えることができない。
それにしても、
第七十五条第一項第三号中「第四十三条の三の三十二第三項」を「第四十三条の三の三十三第三項」に、「第四十三条の三の三十三第四項」を「第四十三条の三の三十四第四項」に、「第四十三条の三の三十一第四項、第四十三条の三の三十二第二項、第四十三条の三の三十三第二項」を「第四十三条の三の三十二第四項、第四十三条の三の三十三第二項、第四十三条の三の三十四第二項」に改め、同項第四号中「第四十六条の二の二第一項」を「第四十六条の二の三第一項」に改め、同項第六号中「第四十三条の三の三十二第三項」を「第四十三条の三の三十三第三項」に、「第四十三条の三の三十三第四項」を「第四十三条の三の三十四第四項」に改め、同項第七号中「第四十三条の三の二十九第一項」を「第四十三条の三の三十第一項若しくは第四十三条の二十六の二第一項」に、「第四十三条の三の三十第一項」を「第四十三条の三の三十一第一項若しくは第四十三条の二十六の三第一項」に改める。
第七十八条第五号の三中「第四十三条の三の三十二第二項」を「第四十三条の三の三十三第二項」に改め、同条第五号の四中「第四十三条の三の三十二第三項」を「第四十三条の三の三十三第三項」に改め、同条第五号の五中「第四十三条の三の三十三第二項」を「第四十三条の三の三十四第二項」に改め、同条第五号の六中「第四十三条の三の三十三第三項」を「第四十三条の三の三十四第三項」に改め、同条第五号の七中「第四十三条の三の三十三第四項」を「第四十三条の三の三十四第四項」に改め、同条第六号中「又は第三号」を「、第三号、第五号又は第六号」に改め、同条第八号中「第四十六条の二の二第一項」を「第四十六条の二の三第一項」に改め、同条第十三号の九中「第四十三条の三の三十二第一項」を「第四十三条の三の三十三第一項」に改め、同条第十七号中「第六号」の下に「から第八号まで」を加える。
『原子力規制委員会設置法案』(議案提出者 環境委員長)より
素人が見ると、こういう文章ってウケ狙い、でなきゃ嫌がらせでやってるようにしか見えないんですけど。
この人たちって、本気で国のために働いてるの?
これじゃワケわかんないじゃないですか。っていうか、見るの嫌になるでしょ。
Wikipediaの編集みたいに、もっとすっきりさせましょうよ。
※出典・参考
・原子力規制委員会設置法
[2012/06/21 テレビ朝日『モーニングバード』そもそも総研たまペディア
そもそも民主党、自民党、公民等のみなさん 原発「安全」のための規制庁が骨抜きになってますけど!!]
[2012/04/20 衆議院 衆法 第180回国会 10 原子力規制委員会設置法案 初案 / 経過][2012/04/20 Yahoo!みんなの政治 国会議案 第180回国会 衆法 180回10号 原子力規制委員会設置法案]
[2012/06/15 衆議院 衆法 第180回国会 19 原子力規制委員会設置法案 変更案 / 経過]
[2012/06/15 衆議院 衆法 第180回国会 19 原子力規制委員会設置法案 可決要綱]
[2012/06/15 東京新聞 社説 原子力規制委 廃炉規定はどうなる]
[2012/06/21 東京新聞 「原子力の憲法」こっそり変更]
・当ブログ内の関連記事
[2011/06/16 ないしょばなし]
もと官僚で「脱藩宣言」した人達の話聞くと、
返信削除これが奴らのいつもの手みたいですね。
実にこうみょ~に骨抜き語句を差し込むと、、、。
それを政治家絶対に見抜けなくて法案通っちゃう。
そりより重大事。
実は昨日鹿児島県知事選の告示受付発表されて
鹿児島川内原発再稼働が真っ向から争点になってます。
実質、再稼働県民投票、です。
現職伊藤知事 容認
対して新人、向原氏 即時廃炉
この二人しか候補者は出ませんでした。
伊藤知事には自民民主公明 医師会農協など180以上の
団体さんがついた「既得権原発ムラ。」
向原氏は「国も福井も止められないなら鹿児島が。」と
立候補を決意しました。
いつもの投票率では絶対に勝てない状態だと思われます。
若者、浮動票が選挙、行かないと、、、。
全国の原発再稼働反対意思をお持ちの方にブログで、あるいは
ツイッターなどで、全国の方に、そしてその方たちからさらに
鹿児島の知人、知り合い、親戚、若者たちになどに
拡散を呼びかけ、お願いしたいのよ~。
投票日は7月8日です。
鹿児島の方々は、桜島の噴火を通じて、大自然の脅威も、灰が降るときの感覚も、身をもって知っているはず。
削除桜島から離れてる人はそうでもないかなぁ…?
選挙といえば、先日見た『原発マネーの幻想』というテレビ番組の、ほんの数秒の映像に私はショックを受けました。
長く原発反対運動のリーダーを努めてきた山戸さんというかたが、今その反対運動の歴史を本に残そうとしているそうです。その文章に興味をもったので、録画再生を一時停止にして読んでみると、こう書かれていました。
「翌87年には原発問題表面化以降二度目の町長選挙が実施されたが、推進派から現職の片山秀行、反対派は町議の河本広正という構図で、チェルノブイリ原発事故もうけて事前からきな臭い動きがささやかれていた。選挙は4月だが、86年暮れより過疎化の進む上関町の人口が突然増加してきた。86年12月に有権者53人、87年1月に有権者121人が増え、明らかに組織的な」……
原発推進者というのは、そこまでするのか!と。
ネットで検索してみると、いろんなサイトでこの詳細が語られています。
私、原発反対運動を何十年も続けている人ってスゴイなぁと思ってましたけど、原発推進派の手口を知るにつれ、推進者の根性のほうがものスゴイなと思うようになりました。
目的に向かって突き進む情熱の強さには、正直、感動すら覚えます。
対抗するには、こちらも根性すえねばなりませんねぇ。私、持久力はあるんですけど、瞬発力に欠けるかも…。
はあ~、そこまでするのか、、、。
返信削除組織推進派、、、。なんと、、、。
とにかくひどいことをする、と元看護婦長に聞いてはいたけど、
当然現金、バラまきまくってるよね。
桜島灰、すごいよ、市内のほう。
みんな傘さして歩いてる日があるもの。
だけど目に見えるものだから。
放射能、見えないもん。
テレビも大阪にくらべてニュース、マイルドなのよ。
ほのぼの~としてるの。
当然デモのことなんか流れないし。
大阪より危機感うすいかも、、、。
ネット普及率はどうなのかなあ、、、。
でも多分、まだまだ低いかも。
でも、こうしてブログ発信するしか術はないから
投開票日までやってみるわ。
> 桜島灰、すごいよ、市内のほう。
削除> みんな傘さして歩いてる日があるもの。
> だけど目に見えるものだから。
> 放射能、見えないもん。
降り注ぐものを見てきたという経験があるからこそ、目に見えないものにも想像力が働きやすいんじゃないかなぁと思うんです。
大阪の私も、いつのまにかベランダの手すりに積もってる黄砂を見て、セシウムもこんなふうに…って想像しますもん。
東京だと黒塗りの車をくすませる排ガスが近いかな?
そういうものを意識したことがない人は、やっぱり想像力が働きにくいですよね。
鹿児島のネット普及率、どうでしょうねぇ。
私も、鹿児島にはリアル友達もネット友達もいなくて。
さしずめ、やっちゃんが最初の鹿児島のお友達ということに…。
「私、持久力はあるんですけど、瞬発力に欠けるかも…。」
返信削除まあ、私と正反対なのね(笑)。
瞬間芸、とくいなんだけど持久力、全然ないのよ~(笑)。
ここ、鹿児島で環境整えて、いつでもcocoさん子供たちと
バカンス来て頂けるように頑張るつもりなのよ~。
それはぜひ、瞬間芸を見せていただきに鹿児島まで足をのばさなければ(笑)
削除あなたのファンのひとりです。
返信削除資料の収集力のすばらしさにいつも驚かされておりました。
科学ジャーナリストの塩谷喜雄さんが次のような記事を発表されています。
「原発事故は官邸で起きたのか? 事故調は「原発サイトの11日間」こそ明らかにせよ」
どの事故調も官邸の過剰介入ばかりを強調していることに異議を申し立てておられると理解して賛同していますが、あなたのご意見を伺いたいと思いました。
同氏は、こうも述べておられます。
「首相官邸で誰かがボタンを押し違えて発生したわけではない。隣接する4つの原子炉が連続して致命的に損壊するという、世界に類例のない事故が、なぜ福島第一で起きたのか。地震・津波の襲来から外部への放射性物質の大量放出まで、当事者はどんな対策をとり、炉心と原発システムの溶融・破壊はどのように拡大・進行していったのか。それを防ぐ技術的・政策的手立てはなかったのか。」と。
私は全く同感です。日本のどの事故調も原発推進派に汚染されていると思っています。あなたのご意見をお聞かせ願えれば幸甚です。
あなたのいちファンより
はじめまして。
削除マイペースなブログですし、情報の収集力なんてたいしたものではありませんよ。
もっともっと紹介したいニュースやサイトがいっぱいあるのですが、とてもすべてを網羅しきれません。病弱な一市民にできることってホントささやかで…。
せめて読者の方々が「気付いていなかったことが他にもあるんじゃないか」「もっと自分で調べてみよう」と思うきっかけとして、このブログが一助になればと願っております。
ご紹介の記事を私は読んだことがありませんが、引用文には私も同感です。
日本が同じ轍を踏まないためには、当時の官邸の責任追求よりも、事故現場の分析をして今後の対策を学ぶことのほうがずっと有意義ですよね。
ただ…、
原発は3.11以後、「赤字」しかありえない状況におちいっています。
安全性を高めようとすればするほど収支の元がとれなくなって、脱原発という結論にならざるをえないのですから。
原発温存派の方々もじつはそこのところをよくご存知で、気持ちが脱原発に傾いている人がとても多いのではないかと想像しています。長年の義理人情に挟まれて意思表示できない「隠れ脱原発派」もたくさんいらっしゃることでしょう。
そういう視点になりますと「事故調が原発推進派に汚染されている」かどうかはあまり問題ではないように感じます。
少なくとも『東京電力福島第一原発事故を検証する国会事故調査委員会』の最終報告書(2012年7月5日)は、(全文を読んだわけではなくテレビや新聞でおおまかな内容を知っただけですが)かなりよくやってくださったと感じています。
匿名さんのコメントは、この最終報告書の二日前だったのですね。返答がすっかり遅くなって恐縮です。
今後も原発温存派はじわじわ減り続けるでしょう。
政界にも経済界にも「気持ちが揺れ動いている原発推進派」「隠れ脱原発派」といった存在があるだろうことに思いを馳せつつ、私にできることはなんだろうかと考えます。
ところで、ブログで匿名という方が私は苦手です。
匿名掲示板には匿名掲示板としての魅力を感じますけれども(笑)
次回は、何かハンドルネームを書いていただけますと嬉しく思います。
ご多用の中、返信をくださりありがとうございました。
削除cocoさんのご意見の「今後も原発温存派はじわじわ減り続けるでしょう。」が現実となることを私も強く願いたいと思います。
cocoさんご無沙汰してました。
返信削除お元気ですか~?
鹿児島みごとに負けましたわ。
長年に渡る巨大な「原発ムラ組織」に一発逆転は無理でした。
良い経験させてもらいました。
一気に親しい人もできちゃいました。
中央駅で天文館で
「向原を宜しくお願いしま~す。」とみんなで声張り上げて
まあ面白かったけれど、鹿児島20万人の人ははっきりと
「原発ただちに廃止せよ。」と。
今回はそれしか訴えてないから。
20万を30万、40万にしてくのにやっちゃんこれからも
忙しいよ~。
残念でしたね。
削除でも、やっちゃんがなさった活動はとても意義のあることだったと思います。
パワフルなやっちゃんがうらやましいほどです。
向原さんに足りなかったのは、知事としてのビジョンが弱かったところではないでしょうか。
原発さえやめれば県民が幸せになれるわけではありませんもの。
医療費をタダにすれば子供が増えるわけではありませんし、TPPや軍事基地を拒めば日本の政治経済が無条件にうまくまわるわけでもありません。
口当たりのいいマニフェストだけ見て投票するほど、有権者もバカではなかったということです。
せめて、原発をやめたあと原発産業を失ったリスクにどう対処するつもりかというところまで具体的に提案してみせて欲しかった。それぐらい突っ込んだ話を、リアルにポジティブに語れる人でないと、県を丸ごと任せるのはちょっと難しいんじゃないかと…。
今後、脱原発派の立候補者さんや大阪維新の会などは、そういうところでも抜かることなく手腕を発揮してほしいなぁと思います。