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2011年8月25日木曜日

新総理候補は日本を改革できるのか

「菅さんが首相の座を降りるなら、発送電分離の道筋をしっかりつけてからにしてほしい。」
私はそう思うんですけれど、どうやら菅さんは"再生可能エネルギー法案"止まりで辞めてしまうみたいです。

次の総理大臣として、具体的に何人もの人が候補に名乗りを上げています。
彼らが原発やエネルギー問題をどう考えているかは、なかなか報道されません。
被災者支援・被災地復興は当然の課題ですが、「放射能汚染なんていう騒ぎをもう二度と繰り返したくない」というのも、日本人の母親の一人として切実な願いです。
日本を牽引する人々は、エネルギーシフトについて何も考えてないんでしょうか…
菅さんが退陣したあとはまた次々と原発が再稼働して、東電の既得権を守る方向にばかり進むのかなぁ…
そんな疑心暗鬼にかられていましたが、今日のテレビでやっと、知りたかった内容の放送をみつけました。



新総理候補は日本を改革できるのか

『モーニングバード』の「そもそも総研たまペディア」というコーナーでした。
最初に「発送電分離が脱原発のキーポイントになる理由」と「発送電分離が進まない理由」が、古賀茂明さんへのインタビューを交えて解説されました。
(すでに原発の問題点をよく学んでいる人にとっては、いまや常識となっている話なので、ここでは詳細を省きます。)

それから、どの候補者なら政治改革を進めることができるのか、それを見分ける踏み絵が<発送電分離についてどう発言しているか>だという話がありました。
「発送電分離を将来やります」とか「中期的に」「長期的に」と言ってるていどでは×
「発送電分離をすぐにやります」と言ってるのなら
「発送電分離をいついつまでに結論を出してやります」も

そう、候補者がそこんところをどう考えてるのか知りたいんだよね~、と思ってたら、なんと、各候補が実際にどう発言しているかをつぎつぎに紹介し始めたのです。
ビデオにしっかり録ったので、ここに書き出しておきます。2~3年後に読み返してみたいと思います。



「発送電分離」発言内容にみる新総理候補の"本気度"

●野田佳彦 財務大臣(VTR回答)
──発送電分離には取り組みますか?
「中期的な課題だと思います。」
──ということは、それに対しては前向きだと?
「中期的な検討課題だと。」

●小沢鋭仁 環境大臣(VTR回答)
「やらないといけないと思いますね。
発送電は分離をしていくと…いう方向を考えなければいけないし、なおかつ、いわゆる"分散型エネルギー"そういう形を作らなければいけない、そう思います。」
──多くの方が、発送電分離ってことにはですね、踏み込めないんじゃないかと。私は思っているんですが。ここに踏み込めるっていうのは…、なんなんでしょう?
「んー、それをやらないと、もっと自由ないわゆるエネルギー活動エネルギー政策をできないからですね。」
──ここにはですね、いわゆる政治家といわれる方々は、どうしても電力会社に逆らえないというふうな人が多いんですけども、これは大丈夫ですか?
「いや、僕なんかも、あの、もちろん電力会社のみなさんと大変親しいですよ。
だけど、そういう皆さんたちとも、ほんとにあの、議論をしてですね、日本のエネルギーをどういうふうな形で安全なクリーンなエネルギーを作っていくのかっていう話を、してかないと、もう困るじゃないですか。」

●馬渕澄夫 前国土交通大臣(VTR回答)
「発送電分離ということを、全給電体制に対してバサッとやる…というやり方がいいのか、あるいはいま東電がこういう破綻のスキーム(計画)の中で…再生スキームになってますけど…東電から手をつけるのか、やり方はいろいろあると思いますけど、基本的に私はやるべきだと思ってます」
──そうすると、そこの前にはですね、強力な既得権者がいる…
「はい、いますねぇ。」
──で、これを突破…できますか?
「一つのところから、始めることですよ。
あの、二正面、三正面、やっちゃダメなんです。改革というのは、一転突破、全面展開ですよ。」
──ああなるほど…、その肝は何ですか?
「今ですか?」
──その電力に関しての肝。
「これ、東電ですよ。東電のスキームから始める。」
──なるほど。
「東電の、いま法案として成立している再生スキームについては、これは当然ながら私は再度見直しが必要だと思っています。」
──なるほど。
「これはもう、破綻ということを前提にした、あの、もう、法的整備です。」

●海江田万里 経済産業大臣(文書回答)
──"発送電分離"どうする?
「検討に値する考え。
分離の場合 良質の電気が 安定的に供給できるよう対策を講じる」

●樽床伸二 元国会対策委員長(文書回答)
──"発送電分離"どうする?
「コストや停電のリスクを 考慮して検討する」

●前原誠司 前外務大臣(回答の期限がまにあわず)

●鹿野道彦 農林水産大臣(回答の期限がまにあわず)



原発をゼロにする?

●野田佳彦 財務大臣(VTR回答)
──原発は、これから最終的には、ゼロにもっていくということのお考えはありませんか?
「あの、だんだんとですね、原発への依存度を減らしていくということは、これは間違いないと思います。
そのためにですね、あの、新エネルギーの普及を大々的に行っていくこととか省エネの社会を作っていくという、この、基本的な流れはそうだと思います。ただし、これはゼロというかですね、完全に無くすまでいけるのかどうかは、慎重検討が必要だと私は思います。
やっぱり、電力不足がどうなるのか、短期的にもそうです、中長期的にもどうやってまかなっていくかっていう、そういう議論が大事だと思ってます。」

●前原誠司 前外務大臣(7月20日『報道ステーション』での発言から)
「わたくしは、およそ20年ぐらいだと思ってるんですが…、20年ぐらいの…、原発をなくしていって、減らしていって、最終的に無くすためのロードマップというものをしっかり作っていくと、いうことが必要で…、その間の安全性をどう担保するかという。まあ、二つのですね、責任をやはり政府は負わなくてはいけないのではないか、そう思っています。」

●小沢鋭仁 環境大臣(VTR回答)
「私は、あの、上質日本という提言をですね、7月に出させていただいておりますけれども、この中にはっきりと段階的撤退が不可避だと、こういうふうに書いております。」
──なるほど。これは、最終的には、原発をゼロにするということでよろしいんですか?
「そうですね。あの、段階的ですから、すぐ明日ゼロにするということはできません。
エネルギーを確保することも重要ですから。
しかし、最終的にはですね、あの、もう、新規の原発というのはなかなか住民のみなさんもですね、あの、建設に了解してくれるということは難しいでしょうし、そういった意味でもですね、あの、不可能ですから…。
で、さらに、使用済み核燃料の問題ってのが今回初めて分かったわけですね。
最終処分場がまだ決まっていないと、こういうことなど含めて考えればですね、やはり、ここは、その、廃止という話に向かっていくことが重要だと、思います。」
──これは、どれぐらいの期間で、原発ゼロへもっていこうと…?
「これはですね、あの、2050年というのが一つの目標でしょうね。」
──2050年?
「はい。」

●馬渕澄夫 前国土交通大臣(VTR回答)
「原子力と向き合うことを避けてはならない、というのが、私の基本的な考え方です。
したがって、原発をゼロにします、という約束をしているんではないんです。
原発ゼロにしたとしても、核とは共に生きていかなきゃいけない現実があるんですね。それは使用済み核燃料の話です。
これ、原発が無くなっても残るんですよ。
そして、我が国がやってきた政策は、再処理、なんですね。
で、この再処理は、私、大変問題だと思っている。
でも、この再処理がじゃあダメだからといったときに、どうするのか。
残るのは、最終処分と中間貯蔵です。
世界中の趨勢は今、中間貯蔵に向いています。
つまり60年70年といった長きにわたって、安定した貯蔵をしながら、核の半減期をものすごいレベルで小さくできる可能性がある。技術によってですね。
こうすれば安全性が高まるわけです。危険性が除去されるわけです。
アメリカも方針転換をしました。世界中がそちらに向きだしました。ということは我が国も、再処理については凍結をすべきであり、一年間検証して、僕は廃止をすべきだと思っています。」
──場合によっては、新しい原発を増やしていくってこともありえるっていうことですね?
「ありえるんじゃないですか?」

●海江田万里 経済産業大臣(文書回答)
──"原発政策"どうする?
「将来的には原子力を減らし 自然エネルギーを増やすが 
当面は電力の安定供給の観点から 安全性を確認して原子力も利用する」

●樽床伸二 元国会対策委員長(文書回答)
──"原発政策"どうする?
「原発の新規建設は凍結 
エネルギー省を立ち上げ 蓄電池普及に取り組む」

●鹿野道彦 農林水産大臣(回答の期限がまにあわず)



けっきょく誰を支持したら良いんだろう?

菅総理の脱原発路線は、菅さんが辞めても、心配したほどいきなりの逆行にはならないかもしれないし、でも、ゆっくり逆行はするかもしれない…。

小沢(鋭仁)さんの言葉は調子が良すぎて、かえって「ほんとに改革できるの?」と思ってしまいました。ごめんなさい、小沢(鋭仁)さん。

馬渕さんは、(原発をよく学んだことによって)脱原発という意見を持つようになった人たちと、まったく同じ学習内容を元にして原発推進の結論を導くという、不思議な発想をするかたなんですね…。この人が何を言っているのか理解するために、私はビデオを3回巻き戻さなければなりませんでした。
半減期を縮める話なんて信じられない。だって、ものすごい大金を投じていまだに安全性が確立できない核エネルギー技術よりも、長いあいだ少ない補助金でお茶を濁されてきたソーラーその他の技術のほうが、今後の伸びしろはずっとずっと大きいんじゃないかと思うし。
う~ん、それとも…、「一つのところから、始めることですよ。二正面、三正面、やっちゃダメなんです。」っていうのは、「とにかくまず東電を壊さなきゃ。発送電分離も脱原発もそれができたあとの話でしょ、いま口にするのは時期尚早。」という意味だったのかなぁ。だとしたら、この人、すごい、かっこいいかも!?

「電力の安定供給」や「停電のリスク」を原発維持の理由に挙げている海江田さん・野田さん・樽床さんは、屁理屈だなぁと思います。
電気には、安定供給が不可欠な場と、停電を我慢できる場とがあるんですから、「原発以外の電気を使いたい」という需要を上手く利用して、自然エネルギーは活躍の場を徐々に広げながらスキルアップしていけばいいだけの話じゃないんでしょうか?
そのためにも発送電分離を早く現実にして欲しいなぁ。



まったくの蛇足ですけど、樽床さんって珍しいお名前ですよね。
「たるとこ」という音の響きが外国語みたいでちょっと素敵です。
でも「タコ・カクタ」に少し似て聞こえることを思えば、なるほどやっぱり日本人の名前なんだなぁとも(笑)




後日追記 1

民主党代表選は、5人の候補にしぼられました。
 前原誠司 前外相
 馬淵澄夫 前国土交通相
 海江田万里 経済産業相
 野田佳彦 財務相
 鹿野道彦 農林水産相
頭文字を並べて「馬鹿の全開」なんて呼ばれてます。「頑張ってる政治家さんたちに対して、なんて失礼な物言いだろう」と思いつつも、ちょっと面白かったりして。
まあ、このていどの揶揄を気に病むような人材では総理大臣なんて勤まりますまい。
明日 8月29日に、党員による選挙が行われます。

海江田さんは仕事のできる方のようですが、かなり経産省寄りと言われていますので、はたして原発を止める気があるかどうか…、そこがすごくすごく気になります。海江田さんの支持を表明した小沢(一郎)さんも脱原発を公言したことはありません…、すごくすごく気になります。
海江田さんご本人は、脱原発を進めたがる菅総理と一悶着ありましたけれど、その後きちんと話し合って大きなしこりにはなっていない様子(?)なのが、もしかしたらという期待を抱かせるんですが。

原発については、馬渕さんがとくによく勉強なさっているようで、エネルギー問題を現実的に把握しているところが頼もしく思えます。
テレビでのコメントが気になったので調べてみたら、すでに脱原発を公言してるし、二ヶ月前には「経産副大臣に」という打診を断ってます。これは東電に立ち向かう気満々と見て良いんですよね?
この人が首相になったところを見てみたいです。
ただ、派閥を持っていない一匹狼のようです。大きな改革を成し遂げるのに、人脈は必要なんじゃないでしょうか、そこがネックかなぁ?



後日追記 2

民主党代表選は、海江田さんと野田佳彦さんの決戦投票を経て野田さんに決定しました。
日本の建て直しにかける願いは、どの候補者も、与党も野党も、政治家も国民も同じはずです。きっと力一杯頑張ってくださることでしょう。

野田さんは、候補者の中で脱原発に最も遠い立場をとっているようなので、そこだけがとても心配です。
「安全です」と言って、あとからセシウムが出てくるような話はもうごめんです。
どうか、復興を急ぐあまりに、これ以上放射能汚染の状況を隠して流通させるようなことだけはなさいませんように。
どうか、飲食物の検査をきちんとやって、国民や海外に向けて数値を公開し、安全なものだけを流通させ、「日本の生産物は一流」という誇りをもう一度取り戻させてくださいますように。

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